日本をはじめ世界では様々なものがリサイクルされていますが、衣類や布類、またそれらの製品を製造する過程で繊維製品が排出されており、繊維製品のリサイクルを強化する取り組みがみられます。繊維製品のリサイクルは現状どうなっているのか、リサイクルの仕組みと共にご紹介しましょう。
繊維リサイクルの分類と回収ルート
再生可能な資源は発生源に応じて「市中屑」と「産業屑」に大きく分けられます。市中屑とは製品化され消費者に渡った後に回収される資源で、繊維では「ボロ」と呼ばれ、主に家庭や事業所から出た衣料品や制服、シーツ、カーテンなどがあてはまります。一方、産業屑は「屑繊維」と呼ばれており、縫製工場で出る反物を立ち落した時の屑や、織布・紡績工場から出る糸屑・綿屑など、製造工程で出る加工屑のことです。
そして、ボロと屑繊維をまとめて「故繊維」と呼ばれています。故繊維の回収ルートは古紙や鉄屑よりも多岐に渡っており、複雑なルートを進みます。ボロは洋紙の原料に用いられていたため、古紙回収と一緒に回収されることが多く、選別業者が買い取ることで用途別に選別され、需要先に渡る仕組みとなっています。屑繊維は縫製工場や織布・紡績工場などから専門回収業者が回収して、繊維原料商に渡り反毛原料となります。
また、一部の工場はウエスの原料としてボロの選定業者が回収することもあります。
新東京グループが調べた故繊維の用途と現状について
平成8年度に行われた通産省の調査によると、繊維総消費量は200万トン強いですが、資源化されたのはたった16万2000トンほどで、故繊維の回収量は10%程度に過ぎません。現在は故繊維の回収量は増加しているものの、需要は伸び悩んでいます。
そんな故繊維の用途は主に中古衣料、ウエス、反物に分けられます。
・中古衣料
故繊維の需要が伸び悩む中、最も需要先となっているのが中古衣料の輸出です。国内ではあまり需要がないのでシンガポールやマレーシア、香港、フィリピン、バングラディッシュ、パキスタンなどアジア諸国で輸出しています。ただ、これらの国は冬物の需要がなく、需要が見込まれる中国への輸出が少ないため、冬物は反物の原料になることが多いです。
また、取引国に発展途上国が多いので、為替相場や経済状況の変動に影響されやすいことから、輸出量も低落しています。
・ウエス
繊維リサイクルの主流でしたが、バージン原料でつくられたウエスの輸入や、紙ウエス・レンタルウエスのシェア増加により、ウエスの需要は減っています。また、最近は環境マネジメントを導入する企業が増えており、廃棄物になるため疎遠し、レンタルウエスに切り替える傾向に向いているようです。
・反物
古着やウエスに適さないものは綿状に繊維を戻した反物に加工され、フェルトやクッション・ぬいぐるみの中綿などに用いられています。マテリアルサイクルと呼ばれていますが、ボタンやファスナーといった部品と一体化しているものや、素材の多様化により手間がかかるため、こちらも需要が減ってきているようです。
繊維は主に中古衣料やウエス、反物にリサイクルされています。しかし、最近は全体的に需要が下がっており、様々な課題を抱える資源と言えると、新東京グループは考えています。。それでも中古衣料は最も大きな需要先となっているので、輸出にこだわらず国内での需要を作り出す必要があると言えます。