今では当たり前に使われている「リサイクル」という言葉ですが、いつから使われているものなのかご存じでしょうか。リサイクルという言葉はいつ誰が使い始めたのか、その起源をご紹介します。
■リサイクルの言葉が登場した起源
日本語でリサイクルと使われ始めたのは1973年(昭和48年)です。同年の10月から12月にオイルショックが起き、それをきっかけに翌年3月に「リサイクル運動市民の会」が設立され、そこで初めてリサイクルという言葉が用いられました。この市民団体の名付け親は航空工学や宇宙工学が専門で、ペンシルロケットを開発し「ロケット博士」の名で有名な元東京大学教授の糸川英夫氏とされています。
■リサイクルがいつから使われるようになったのか
リサイクル運動市民の会が設立された当時、リサイクルはリサイタルやサイクリングを間違われるほど、周りに浸透していませんでした。先取りという形で糸川氏が名付けましたが、糸川氏がどの経由でリサイクルの言葉を知ったのかは明らかになっていません。でば、いつ頃からどんな目的で使用され始めたのでしょうか。
・廃棄物処理法
廃棄物処理法は1970年(昭和45年)に公布されました。
これは廃棄物の排出を抑制と処理の最適化で、生活環境を保全し、公衆衛生の向上を目的に施行されています。この法律では、事業者の責務と国民の責務にリサイクルではなく、再生利用という言葉が用いられていました。この再生利用は廃棄物を原料する意味で使われています。
また、2000年(平成12年)に公布された「循環型社会形成推進基本法」にはリサイクル・リユース・リデュースという言葉はないものの、発生抑制、再使用、再生利用、熱回収、適切処分の流れで優先順位が決まっています。
・環境白書
環境白書でリサイクルが使われ始めたのは1980年(昭和55年版)でした。以前から再生利用が使われていましたが、これはごみの減量や適性処理を推進する目的が強く、リサイクルは資源としての価値を見出だす表現として使われているようでした。
・国会議事録
国会議事録では昭和36年5月から使われていますが、電子力発電の問題が中心でした。昭和46年(1971年)2月に開かれた衆議院予算員会にて、廃棄物処理に関するニュアンスでリサイクルが発言されています。
・世論調査
内閣府の世論調査では昭和47年に過剰包装が取り上げられ、昭和53年には古紙をごみとせず、回収ルートにのせているかどうかの質問がありました。また、昭和63年の世論調査の質問に「リサイクルが可能かどうか」と選択肢があり、これ以降頻繁に使われています。
このように、リサイクルという言葉は様々な場所で登場していますが、使われ始めた年代はそれぞれ異なり、使われ方にも違いがありました。ただ、廃棄物処理法の公布からリサイクルに近い意識は構成されており、環境白書に現在の目的に近いものとしてリサイクルが使われているので、昭和50年代には本来の目的がほぼ確立していたと考えられるでしょう。